毒舌社長は甘い秘密を隠す

「あぁ、そうだ。今日から、入居者専用のジムやスパも使えるようにしてもらったから、好きな時に使って」
「えっ!?」
「君も入居者と同等の扱いにしてもらった。だから、心置きなく過ごせばいいよ」
「ありがとうございます」

 昨日、帰宅の際にコンシェルジュに頼んでおいたことを伝えたら、にこっと微笑んでくれた。
 俺はあまり使わないけれど、彼女は浴室に付いている機能でも喜んでいたくらいだから、きっと好きなはずと予想した通りだ。

 彼女の気持ちは分からなくても、微笑みひとつでだいぶ気分が救われた。


 晴海からほど近い台場へ向かい、晴れ渡った夏の景色を眺めながら食事ができるレストランにやってきた。


「気持ちいいですね。晴れてくれてよかった」
「そうだな」

 テラス席に時折風が吹いて、その度に彼女の綺麗な髪がなびく。
 耳が見えて、かわいらしい小ぶりなピアスを着けていると気づいた。
 かわいいピアスだって言ってあげたいのに、言葉が出ない。

 きっと九条さんはなんてことなく褒めるんだろうな。『素敵ですね』なんて紳士的なあの人らしい口調で。
 考えただけで気が逸る。

 九条さんが告白する前に、俺がつかまえなくては。

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