毒舌社長は甘い秘密を隠す

 愛車のエンジンをかけ、右隣に座る彼女をふと見遣る。
 似たようなタイミングで見合ってしまったようで、お互いに一瞬固まってしまった。


「今日はこれからどちらに?」
「まずは腹ごしらえでもするか」
「はい」

 三カ月も一緒に暮らして、二年も隣で働いてきたのに、すごくぎこちない。
 この生活を始めてからというもの、ふとした間や沈黙が気になるようになった。
 今、なにを考えているんだろうって、いつでも彼女のことばかり気に留めているのにわからない。

 なんのための同居なんだ?
 俺のエゴで彼女を囲っているだけなら無意味だ。彼女だって窮屈だろう。

 そう思うのに、手放せない。
 他の誰にも渡したくないから、閉じ込めておきたくなる。

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