毒舌社長は甘い秘密を隠す
「実は、彼女と暮らす部屋を探しているんです。それで、どんな部屋なら住みたいと思うか、女性目線のご意見をいただきたくお時間を頂戴した次第です」
日本茶に少し口を付けた九条さんは、とても穏やかに微笑む。
井浦社長も同じように微笑むだけで女性を射抜いてしまうけれど、きっと彼も同類だろう。
「あの、それでしたら直接お聞きになったほうがよろしいかと思うのですが」
「記念日かクリスマスなんかのサプライズで伝えようと思っていまして」
「……なるほど、そうなんですね」
だけど、九条さんの大切な女性がどんな人なのかも知らないし、好みだって分からない。
私の意見なんかを伝えていいのだろうか。
「こういう機能があるキッチンなら楽しく料理ができそうだとか、こんな眺望に憧れるとか、そういう意見でいいので教えてもらえませんか? 僕個人の意見だと、どうしても生活感に欠けてしまうんです」
「それくらいでよろしいのでしたら……」
私がそう言うと、彼は晴れやかに笑ってみせた。