毒舌社長は甘い秘密を隠す

 プラネタリウムを出たら、綺麗なオレンジ色の空がビルの間から広がって見えた。
 夜景の明るさが照らす都会の夜空も嫌いじゃないけれど、ハワイの星空を見たばかりだからか、本物を仰いでみたいと思った。


「どこかで食事をして帰るか。君が行きたいお店があれば連れていくけど、リクエストはある?」

 プラネタリウムであんな雰囲気にのまれた後にムーディーなお店に連れていかれたら、ドキドキしてしまって食事が喉を通らなそうだ。


「夜は、私が作ります」
「それもいいな。じゃあお願いするよ」

 彼の自宅で過ごしても、きっとドキドキするのに変わりはないと思う。
 だけど、昼間からずっと私のために動いてくれたから、夜はお礼をしようと決めた。

 といっても、日頃から彼の体調を管理するためにも自炊がメインだし、別に変わったことではない。
 お礼の気持ちと彼への想いをたくさん込めた、いつもよりちょっとお洒落な料理を並べよう。

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