毒舌社長は甘い秘密を隠す

「――ですので、このタイミングでどうしてもお会いしたかったんです」
「なるほど、京都にも軸を置かれるんですね。弊社でお力になれることがありましたら、なんなりと」
「ありがとうございます。そう仰っていただけると助かります」

 話の一端しか聞けなかったけれど、どうやら九条さんは京都方面にも力を入れていくようだ。
 海外に行っていたばかりなのに、本当に多忙な人だなぁ。


 十八時前になり、社長は当日に入った予定に合わせて出かけてしまった。
 どうやら彼の父親と会うようだけど、行先を訪ねたら会食だと言われた。また酔った勢いでアルパくんたちに紛れて眠ったりしないといいけれど、今日は私も九条さんと食事に出なくてはいけない。

 自席のパソコンをシャットダウンしていると、社用携帯が鳴った。


《沢村さん、お疲れ様です。ご都合はいかがですか?》
「本日はありがとうございました。そろそろ出るところです」
《では、汐留駅の前で待っていますので、お気を付けていらしてください》

 客先の社長を待たせてはいけないと、手早く帰宅の支度をして社を後にした。

< 245 / 349 >

この作品をシェア

pagetop