毒舌社長は甘い秘密を隠す

「ちなみに弊社は社内恋愛に寛容ですので、もし来ていただけるのでしたら、気兼ねなく恋も仕事も大いに楽しんでいただきたいと思っています」
「……弊社も社内恋愛が禁止というわけではございませんが、私はあまり公私混同を好まないんです」
「あんなに素敵な社長さんがいるのに、もったいない」

 仕事に私情を挟んでいるなんて知られたら、秘書失格と思われそうだ。そうなれば、九条さんも引き抜きの話をなかったことにしてくれるかもしれないけれど、そうはいかない。


「まぁ、井浦さんに話したら間違いなく引き留めるでしょうね。彼にとってもあなたは大切な存在でしょうから。でも、私は沢村さんに来てほしいと思っています」
「お返事まで、少しお時間をいただきたく思います」

 九条さんが私を評価してくれているなんて光栄なこと。きちんと考えて答えを出さなくては。

< 251 / 349 >

この作品をシェア

pagetop