毒舌社長は甘い秘密を隠す

 とても美味しい食事をご馳走になり、ホテルを後にした。
 九条さんは答えが出るまで待ってくれるらしく、言葉に甘えて考える時間をもらってある。


 タクシーで晴海に向かう間、真剣に考える。

 社長に相談したら、なんて言うだろう。
 彼のことだから、「君の好きにしたらいい」とか「待遇に不満があるなら言いなさい」なんて言われそうな気もする。

 彼がなにを考えているのか、なんとなくわかるようになってきたのは仕事のことだけ。
 心の中でなにを想っているのか、私といてどう感じているのか……私はそれを知りたいのに、なかなか明かしてくれない。

 だから、もっと近づきたくてたまらないのに、想いに気づかれてしまいそうで、行動に移せずにいる。

 もし、私がいなくなると聞いたら、彼はどうするのかなぁ。
 そんな試すようなことをしてはいけないと思いながらも、いずれは知ることになるのだからと少しずるい自分に背中を押された。

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