毒舌社長は甘い秘密を隠す

 会社で誘われてからずっとドキドキしていた鼓動が、さらに駆けだす。
 痛いくらいに鳴り響いて、そんなに酔っていないのに全身が熱い。


「君の好きなタイプが俺だってことが分かったし、今日はいい夜になった」
「別に、社長だとは言ってません」
「そう? 俺しかいないと思うけど」
「…………」

 勝気な笑みを浮かべる彼から視線を逸らして、食事に手をつける。

 縁談があるくせに秘書の私を自宅に置いて、こうしてデートまでしたり、毎夜欠かさずに抱きしめてくる彼は、一体どういうつもりなの?

 そう思いながらも、彼の強引な一面に散々振り回されてきたのに、自分でもコントロールできなくなる恋の力を思い知らされた。

 だけど、なにを考えているのかを明かしてくれるまでは、意地でも好きだなんて言うもんか。


「いい加減、俺に落ちてくれたらいいのに」
「えっ!?」
「まぁ、焦らなくてもいいか。本当に大切にしたい人ができたのは初めてだからな」

 さらっとすごいことを言った彼は、動揺する私を見て微笑んだ。

 本当に大切にしたい人……って、私が?
 でも、彼には海外の令嬢がいるはずで……。

 ドキドキする胸の奥を隠すために食事をしていたら、結局また無言になってしまった。

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