毒舌社長は甘い秘密を隠す
五月の連休が終わり、久々にぐうたらできた時間が過ぎ去った。
仕事は好きだけど、オンとオフのスイッチが切り替わるのは、なんとも切なくなる。
子供の頃、日曜の夕方に経験したあの感覚は、大人になっても残っているらしい。
「千堂、ちょっといい?」
「はい」
午後に予定されていた全体会議が終わった。
社長の父親を含めた親会社の役員たちを見送ると、社長が俺を呼びとめた。
「見合いってしたことある?」
「縁談があるんですか?」
「いや、そういうことじゃない。千堂にその経験があるか聞きたかったんだ」
……ん? 俺に縁談ってこと?
「ありませんよ。もし、今度見合いをすることになったとしても、俺はあまり気乗りしないですね。仕事の繋がりなら顔合わせくらいはして、お断りする流れに持っていくと思います」
「そうか、そうだよなぁ。……悪かった、つまらんことを聞いて」
「失礼します」
社長に縁談が持ち込まれたのかな。
沢村さんを落とせそうにないから、ここぞとばかり御曹司のコネをフル活用するのか?
まさか、彼がそんなダサいことはしないと思うけどなぁ。