毒舌社長は甘い秘密を隠す

 それからというもの、時々社長は仕事とは関係のなさそうな話をしてくれるようになった。

 見合いの話の次は、最近はどういうデートコースが流行っているのか、絵本が好きな女性についてどう思うか……等々。

 社長じゃなければ、俺が誰かと見合いでもさせられるのかと思っていたのに、三カ月経った八月になってもそういう話はまったくない。
 デートコースを聞かれて、ようやく沢村さんを誘い出したのかと思ったのに、都市開発に役立てると言われてしまった。

 挙句の果てに、絵本が好きな女性のことなんて聞かれて困ってしまった。


「かわいらしくていいんじゃないですか? もし、そんな女性がいるとしたら、純粋な心を持っているのかなと思うかもしれません」
「そうか……」
「社長の好きな方のことですか?」
「違うよ。知り合いの話だ」

 分かりやすい人だなぁ。
 きっと沢村さんを思い浮かべていただろうに。

 でも、なんで絵本?


 このふたりは、観察すればするほどじれったいし、社長が話すことは時に理解に苦しむことが多くなった。

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