毒舌社長は甘い秘密を隠す
新手のアルパカ泥棒?
いや、でもビルのセキュリティは最先端の設備で万全だから、そう簡単には入れない。
そもそも、アルパカを連れて出て行こうものなら、警備員に止められるだろう。社員通用口以外の出口だって、厳重に施錠がされているはずだ。
となると、私の見間違いかな。
念のために確認しておこうと、そっとガラス戸を開けて入った。
「キュキュキュ」
私の気配を察知したアルパカが、崩していた足を立ててこちらを見ている。
その鳴き声に反応した他のアルパカも次々に立ち上がって、同じように声を上げた。
「大丈夫だよ。遅い時間に来たからびっくりしたよね、ごめんね」
柵の前で優しく声をかけると、日頃から接する機会の多い私だと気づいてくれたらしく、「フーン」と甘えた声を出し、穏やかな顔を見せた。
だけど、彼らが寝そべっていた草の上には、七頭目のアルパカがいる。