毒舌社長は甘い秘密を隠す

 今日中にやるべきことを終わらせてから、週明けの業務がスムーズにとりかかれるように少しだけ進めておく。


「じゃあ、お先に。戸締りお願いしていい?」
「はい、もちろんです。お疲れ様でした」

 二十時前になって、留美さんが席を立った。
 私もそろそろ帰ろうと思いつつ、手を付けてしまった作業をきりのいいところまで進めておきたくて、あと一時間以内に帰ると決めた。
 あまり残業をするのは好まれていないし、他に誰もいなくなってしまったから尚更だ。


 黙々と作業をして、ふと時計を見ればあっという間に二十一時前になっていた。
 いい加減帰ろうとパソコンをシャットダウンして、帰宅の身支度をする。
 薄手のジャケットを羽織り、デスク周りを整理整頓して離席し、秘書室を出た。

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