毒舌社長は甘い秘密を隠す

 週末は社長の友人の獣医師が、アルパカの様子を見に来てくれる。ついでに餌やりなどの世話もしてくれるからとても助かっているけれど、帰宅する前になんとなく見ておこうと思い、飼育スペースに寄ることにした。

 そっとガラス戸から中の様子をうかがうと、草を敷き詰めた床の上で、真っ白なアルパカが寛いでいる。元気そうだと安心して、少しふれあって癒されてから帰ろうと室内に入った。


「キュキュ」

 一頭が私に気づくと、連鎖して他のアルパカも反応を示す。


「みんなゆっくり休んでね。明日は先生が来てくれるから、もし具合が悪いところがあったら見つけてもらうんだよ」
「フフーン」

 言葉は通じていないだろうけど、なんとなく思いは届いているような気がする。
 社長はアルパカのこういう一面にも惹かれているのかもしれないなぁ。
 感触も気持ちいいし、毎日疲れている彼にとってはこの上ない癒しなのだろう。

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