桔梗の華 ~途中公開~
「ふふ、羨ましいわね。こんな素敵な名を与えられて。」


パチっと目を開けると優しい表情をした
埜鶴子様が私を抱き抱えていた。

「埜鶴子様…私…」

静かに頷く埜鶴子様にホッとした。

「桔梗殿、貴方は誠実な心を持って悪を浄化しなさい。貴方は強い子よ」

「ありがと…ございます」

私は埜鶴子様の胸で泣いた。
どうして泣いたのか分からないけど
色んな感情でいっぱいだった



少し泣いて落ち着いた私に
埜鶴子様は桔梗の花が描かれてる髪留めを
私の髪を結わえて付けてくれた


「これは贈り物よ。ふふ似合ってる」

「あ、ありがとございます!」

嬉しくて照れちゃう
カァと赤くなる私を見て埜鶴子様は

「金源の勾玉…アレは貴方を恐れてるわ。」

「わたし?」

「貴方を封じた理由、それは貴方の力を恐れて…今までにアレを封印した巫女はいません。私の姉でさえ無理でした。」

切なそうに話す埜鶴子様

「貴方はまだ力の本質は分からないと思うわ。これから厳しい現実が訪れる。それでも貴方は貴方らしくいなさい」

力の本質……

「はい。」

「ふふ、返事に迷いがあるわね。貴方は愛しい者を信じなさい。」


愛しい者_______神威…?

「分かりました」

神威を信じる
ぐっと決心した顔になる桔梗に
埜鶴子様は一瞬驚いてまた微笑む




この子はきっと悲しい運命を辿る
でも、どうか己と愛しい者を信ずれば……
お願いです…紅子お姉様…
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