お見合い結婚した夫が最近おかしい件
30分もしないうちに、素晴らしいディナーがうちの食卓に並んだ。きっとうちの立派なテーブルも結婚して初のきちんとした夕食を並べられて喜んでいるに違いない。

生ハムらしきものが入ったパスタと、名前のよくわからない野菜が入ったサラダ。ワイングラスには白ワインが注がれている。スゴ過ぎて何も言えない。

これをパパッと用意してしまった高嶺さん。今まで数えるほどだけど、手料理を披露してしまった自分をどつきたい。


一口食べると・・・・・美味しすぎる!


「美味しいです!高嶺さんってお料理上手だったんですね。早く行ってくれれば、私のヘタな料理なんて披露しなかったのに。」


「喜んでいただいて良かったです。でも、千里さんの手料理もいつも美味しいですよ。」


「お世辞はいりません。」


「お世辞ではありません。家庭料理って感じがして好きなんです。」


確かに、私が今まで作ったのは、家庭料理として一般的なものばかりだ。


「普段が、外食が多いですからね。そういうものが恋しくなるんです。」


「確かに。同じ料理でも、家で食べるのと、外で食べるのは違いますもんね!」


「えぇ。それに僕にとってはあなたが作ってくれたということに価値がある。」


モグモグとパスタを頬張っていた私は、高嶺さんを見た。


「あなたが作ってくれるなら、きっと世界一美味しく感じると思います。」


パスタを頬張っていた私は、何も言うことができなかった。そのまま高嶺さんから視線をそらす。


そしてふと思う。





高嶺さん、何か変じゃない?
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