お見合い結婚した夫が最近おかしい件

「お風呂、お先にどうぞ。」

「あ、はい。」


シャワーを浴びながら考える。

今日の高嶺さんは変だ。何が変なのか。どうして変なのか。

頑張って考えてもわからなかった。ただ言えることは、私はそんな変な高嶺さんが嫌ではないということ。若干戸惑ってしまうけど。

悩みながらもシャワーを終えた私はリビングにいる高嶺さんに声をかけた。

「高嶺さん、お風呂終わりました。」

「じゃあ、僕も入ってきますね。」

「はい。」

時刻はまだ9時を過ぎたところである。これからどうしようか考える。


「千里さん」

「はい。」

「僕がお風呂から出てくるまで待っていてください。」

「あ・・・はい。」


真剣な瞳に見つめられ、ドキドキしてしまう。


とりあえず、髪を乾かすことにした。私は、髪が多くて長さもあるので、乾かすのに20分以上かかってしまう。どこで乾かそうか悩んで、リビングで乾かすことにした。


髪を乾かしていると、高嶺さんがリビングに入ってきた。

まだ、お風呂に行ってなかったのかな？と思いながら高嶺さんを見ると、Tシャツにハーフパンツという寝るときの恰好で、きちんと髪も濡れていた。


「速かったですね」

いつもはもっとゆっくりな気がする。髪の毛もいつもより濡れていた。高嶺さんは几帳面な人なのでタオルでしっかりと乾かしてからドライアーする人だ。

「何か落ち着かなくて」

高嶺さんがそんなことを言うので私も何だかソワソワしてしまった。

高嶺さんは挙動不審な私からドライアーを取り上げた。

「あ、高嶺さんが先に乾かしますか？」

「いえ。僕が千里さんの髪の毛を乾かしてもいいですか？」

「別にいいですけど。」

「では、むこうを向いてください。」

高嶺さんに背を向けると、高嶺さんは優しい手つきで私の髪の毛を乾かし始めた。雑な私とは違い高嶺さんの丁寧な手が気持ちよくてだんだんと瞼が重たくなっていく。

そういえば、美容院でもドライアーしてもらうと眠くなるんだよなーなどと考えながら私の意識はとおのいていった。