愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~
「うちが総合病院を経営しているのは知っているわよね? 真紀にはあそこを継いで欲しいの。それは院長である私の父親も望んでいることだわ」
「でも、藤堂先生は結婚しないと言っていました」
「真紀はそう言っているけどね。そうも言ってられないのよ」
麗香さんはどこか勝ち誇ったような笑みを浮かべる。
「どういうことですか」
「ねぇ、貴女は真紀のことどれだけ知っているの?」
私の問いには答えずに、麗香さんは聞き返してくる。
どうせ何も知らないのだろうと暗に含んだいい方だ。
「真紀はね、町医者で収まって良いような人間じゃないのよ」
「え?」
「今は小児科なんてほのぼのした町医者をしているけど、本当は心臓外科にいたのよ」
「心臓外科ですか」
麗香さんは大きく頷く。