愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~


藤堂先生は昔から小児科の医者ではなかったのか。


「昔いた大学病院での専攻は心臓外科。若いながらに将来を期待されたエースだったのよ。しかも、彼のお父様も心臓外科の権威だわ」


藤堂先生のお父さんも医者だったのか。しかも同じ心臓外科。権威といったら、そうとう凄い人なのではないだろうか。


「なのに、突然小児科へ転向してあっという間に開業したわ。ねぇ、真紀ほどの才能のあった人が今やのんびりした町医者だなんてもったいないと思わない? 真紀が心臓外科に戻ることでどれだけの人が救えると思う?」
「そんなこと、私にはわかりません」


藤堂先生が心臓外科から離れた理由を知らない。私には小児科で藤堂クリニックの先生として働く姿しか知らない。
少なくとも、あのクリニックへ通う患者さんは藤堂先生を頼って来ている。


< 191 / 262 >

この作品をシェア

pagetop