愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~


大きく開けたクローゼットを腕を組んで眺める。


「うーん、何を着ようかな」


部屋に帰ってから頭を悩ます。10分後に、と先生に言われたがそれじゃぁ足りない気がしてきた。近所なら今着ているこのパーカーとジーンズ姿でいいと思うが、大きな街に行くなら相応な格好をしたい。

何より、これってまるでデートのようではないか?


「いやいや、考えすぎでしょう!」


単にお詫びのご飯だ。そんな深い意味はない。
……ないはずなのに、どうしてこんなにソワソワしてしまうのだろう。どうしてたかが服に悩んでしまうのだろう。

なるべく気合いが入りすぎないよう、それでも可愛らしく見えるようなワンピースを選ぶ。

なんとか10分きっかりに玄関を出ると、先生は自分の部屋の扉に背を預けて立っていた。
先生も着替えており、薄い水色のVネックシャツにジャケットを羽織って、お出掛け用の格好をしている。



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