愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~
この人は何を着ても似合うから羨ましい。ラフな姿ではなくお出かけ用の服に少しだけ胸が跳ねた。
だから、なんだこれってば。自分の胸を軽く押さえて落ち着かせる。
「お待たせしました」
「いや……」
藤堂先生は私の姿を見てニッと笑った。「ほぅ」と腕を組ながら上から下まで観察される。そんな風に見られるのは落ち着かず、視線を彷徨わせてしまう。
「なんですか?」
「いや、そういう格好もいいな」
「本当ですか?」
「ああ。女らしく見える」
……どういう意味だ。
そりゃぁ、普段はパンツスーツか仕事用のかっちりしたスカートだから、こういうのは珍しいけれど。
「他に言い方ありませんか?」
「可愛いよ」
意外にも速答され、そう言われると思っていなかったから反射的に頬が赤くなる。
それを見て先生は隣で「ククッ」と喉を鳴らして笑っていた。