曖昧な私に珈琲を。
「いいんだよ。汚い感情も、酷い感情も、由真ちゃんは悪くない。俺がそう言ってあげる。それにほら、今、こんなに雨が振ってるんだから…」

耳元で優しく話す唯さん。まるで魔法にかかっていくようだと感じた。

唯さんは私の頬に手を当て、ささやくように、けれどしっかりと耳に残る声色で言った。







「全部雨で流してしまえばいいんだよ」






私の中で何かが切れるのが分かった。そして私は雨の中唯さんにすがりついて、たくさんたくさん泣いたんだ。
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