曖昧な私に珈琲を。

雨と一緒に流れてしまえ

桜が散った。

風が強い日。

入学してゴールデンウィーク間近な今日、私は大学の友達と街へ繰り出していた。
相変わらず2人の事は忘れられないし、1人になると考えてしまうので正直新しい友だちの存在はとてもありがたいものだ。

「で、あんたいつ彼氏作るの?」

「え?」

唐突にランチの目的地まで歩いていると新城 沙羅(シンジョウ サラ)はため息をついて私に言った。

「だから、いつ彼氏作るのよ?」

沙羅は見た目はキチンと男性なのだが、中身はオネェのちょっと変わった男友達だ。
大学内を歩いていたら「あんた可愛いわね」といきなり声をかけられたのが出会いのキッカケ。
何を考えているのか分かりやすそうで、よく分からない。不思議じゃないようで不思議な人だ。

「唐突になに?私そもそも好きな人すらいないんだけど…」
「知ってる」
「じゃあなんで?」
「恋バナがしたいからに決まってるじゃない!!」

迫力満点でふわふわの金髪がジブリ映画みたいに逆立つんじゃないか、という気張り具合で私に言う。

「恋バナがしたいなら聞いてあげるよ?」
「バカね、恋バナっていうのはお互いの恋模様を言い合うのが楽しいものなのよ」
「そうなの?」
「私はね」

恋バナなんてそういえばいつからしてないんだろうか…。
考えてハッとしたが私は恋バナをしたことがないように思えた。

昔から悠里が大切な存在だったのもあって、それ以上の存在なんて考えたことがなかったと思う。
この人好きだな、と思ったことも…もしかしたらないかもしれない。
それはもちろん悠里にも言えることだからこんな状態にまでなったのだが…。

「恋ってしないといけないものなの?」
「は?」
「大切な人がいたらそれだけでいいっていうのはわがままなのかな…」

ボヤくようにいうと沙羅は絶句した顔をして私を心配そうに見た。
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