星降る夜空に祈りを込めて
そうして、五年後に見つけた佳苗は、まさに俺が目指していた医療の現場に居た。


俺はそこの医師と連絡を取り、様々な話をした。
地方や離島の医療についてや、そこで働く佳苗との過去、自分の情けなく不甲斐なかった事もありのまま話した…


そして、見つけてから数ヶ月の準備期間を経て…


俺は、弟がくれた自由を惜しみなく使い、彼女の元へ行く事にした。


あの時から後悔はしても、諦めきれない…
俺の佳苗を愛しいと想う気持ちを、今度こそ彼女に伝えるために…


あの時から今もずっと、俺の気持ちは君にあるのだと伝えるために…


拒絶されるかもしれない、話も聞いてもらえないかもしれない…

そんな後ろ向きな気持ちもあるが、俺にとっての唯一は佳苗なのだと…
大切な人は君なんだと、伝えたい…

叶うなら、もう一度この手で君を抱きしめたい…
愛することを許して欲しい…
もう、離れたくないのだと…

俺は言葉で態度で佳苗に伝えたい…

彼女の隣にずっと居られる、その立場が欲しいのだと…
乞い願うしか、俺にはできない…
決めるのは彼女だが、諦めの悪い男の最後のあがきだ…


俺は彼女のいる島、そこで医師生活を送る。
その覚悟と彼女への確かな気持ちを持って、島へと向かったのだった。
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