星降る夜空に祈りを込めて

美希さんが退院してから診療所もなにかあれば開けはするが、年末年始の休暇に入った。


その間に先生は島唯一のアパートに借りてた部屋を解約し、私の家へと越してきた。
なんだかんだと来ていた家を気に入っていたらしい。
一人暮らしだったが、実は平屋の4LDKに住んでいた私。
確かに部屋は余っている。
そうして、引っ越しも済めばもう年を越す大晦日を迎えていた。


片付いたあと、先生と私はテレビ電話で先生の御両親に挨拶をして結婚の承諾を得た。
婚姻届はしっかりと書き、証人欄には中嶋先生夫妻のサインをもらった。


そして穏やかな年越しをして、新年を迎えた私達は初詣の後に役場に寄り、婚姻届を提出した。


私は西澤佳苗になった。


先生は最後まで俺が支倉になったっていいんだぞ? と言っていたが、私が家族になるなら西澤になりたいのと言ってこうなった。


手を繋いで歩いて帰る道すがら、すれ違う島の皆に挨拶しながら結婚したことを伝えると、誰も彼もが口を揃えて祝福してくれる。
そして、先生を褒めたたえて離れていく。


「ねぇ、みんな良かった! おめでとう! って言ってくれるのは嬉しいけれど、どうして透悟さんには涙ながらなの?」


誰も彼もが透悟さんには涙を浮かべながら、私たちの結婚を祝福するのだ。
余りにも続く光景に思わず口に出すと、透悟さんはあっさりと言う。
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