iNG 現在進行形の恋【濃縮版】
「私、あの家を出るつもりだったわ……。でも御父様に言われたの。お前に庶民の暮らしは無理だって」

仁のお母さんはフッと笑った。

「生活のランクを上げるのは簡単だけれど、落とすのは容易なものじゃない。今お前は食事を自分で作れと言われて出来るのかって。自分の事すらまともに出来ないのに一人で出来るのかって」

「……」

「私何も言い返せなかった。だって自分で御飯すら作った事も無いもの。悔しくて一人で料理を作ってみたけれど食べれたものじゃなかった」

思い出すように目を伏せながら鼻で笑った。

「愛だけじゃ生きていけないのよ」

「……」

「だから私はこうやってメイドがいて、好きな服も好きなだけ買える暮らしを選んだの」

再びフッと自嘲するように鼻で笑った。

「……」

「莉緒さん、御父様に何を言われても戦う勇気はある?」

「……」

「無いなら今すぐ諦めなさい」

仁のお母さんの強い眼差しで私を見据えてる。
私はずっと塞いでいた口を開く。
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