赤薔薇の騎士公爵は、孤独なカヴァネスに愛を誓う
「今なら、君の罪をもみ消してあげなくもない。ただし条件がある。君が議会でっ証言台に立ち、誰に支持されて行ったことなのかを暴露することだ」
「そ、そのようなことをすれば私の命が――あ!」
ついに、自分で罪を認めたメドレスは、サッと血の気の失せた顔をする。
にっこりと笑って膝を組むウォンシャー公爵は「これは取引だ」と商談の延長のように余裕を見せて話を続けた。
「ちなみに、君は逆らえる身分ではなかったと言えば罪を免れるだろう。あのお方に指図されては、誰も断れまい」
指図した人間に関してウォンシャー公爵は見当がついているのに、大公殿下の名前を出さなかった。
おそらくメドレスから大公殿下がこの事件に関わっているという決定的な確証を得たかったのだろう。
「む、無理だ! あなたが私の地位と身の安全を保証してくれるとは限らんだろう!」
声も足もガタガタと振るわせて勢いよくソファーから立ち上がるメドレスは「おい、こいつらを始末しろ!」と叫んだ。
するとどこからともなく、黒い装束を纏った荒くれ者たちが剣を手にぞろぞろと現れて、シェリーたちを取り囲む。
「私の秘密を知ったあなた方には、生きてここから出られては困りますからね」
被虐的な笑みを浮かべて優雅にソファーに座りなおすメドレスに、ウォンシャー公爵は深々とため息をついた。
「話の通じない猿はどうも苦手だよ。うちの執事に躾してもらいなさい」
その言葉を合図に、スヴェンがゆらりと前に出る。
シェリーはアルファスが巻き込まれないようにさりげなく抱き寄せた。
「かしこまりましたよ、主」
冗談で返したスヴェンは目にも止まらぬ速さで近場の荒くれ者の背後に回ると、うなじに手刀をくららわせて気絶させる。
それを呆然と見ていた他の荒くれ者たちも、同じ方法で次々に気絶させられていった。