赤薔薇の騎士公爵は、孤独なカヴァネスに愛を誓う


「それを素直に伝えてさしあげたら、よろしかったのに」

 素直でないところは、ふたりともそっくりだとシェリーは苦笑する。


「アルファス様は俺の子供のころに似ていてな、どうも厳しく接してしまう」

「ですが、愛のある叱咤はちゃんと心に届くものです。アルファス様にもきっと伝わっていることでしょう」


 励ますように笑えば、スヴェンは眩しそうに目を細める。


「シェリーには毎度、救われてばかりだな」

「あ……」


 それ以上、言葉が紡げない。こんな状況だというのに、目の前で柔らかな微笑みを浮かべるスヴェンに目を奪われてしまうのだった。





< 86 / 135 >

この作品をシェア

pagetop