恋?…私次第。~好きなのは私なんです~
歩みが止まった。空いていた手も握られた。
「親父の事、好きって言いましたけど、親父が好きでも、梨央さんはまだそれ程じゃない。どっちかと言えば、まだ親父の一方的な片思いみたいなモノでしょ?…そうでしょ?」
…。まだ私の方の気持ちが薄い両想い?
「そうなんでしょ?」
そうかもしれないけど。そんなに念押しされても…。
「でも好きよ?お父さんの事…なんて言うか、穏やかに好き…」
そう…今は、…そう。
「沢山ドキドキしたくないですか?俺は梨央さんにドキドキしてます。もっともっとドキドキしたい。相手が…大人、本当の意味で年齢が大人だと、それ程ドキドキしないんじゃないですか?落ち着いてるっていうのか。だから、穏やかに好きって…。
いい人だったらいいとか、こんな感じかなって、妥協しようとしてませんか?…確かに、徐々に好きになればいいって、相手が解らなかった時、俺も言っちゃったけど。
こんなに思ってくれてるなら、いいんじゃないか、って、妙に覚悟を決めようとしてるんじゃないですか?…未遂に終わった時だって、変に腹を括ったんじゃないですか?
今の俺は、梨央さんの相手が親父だと知って、味方にはなれないですよ?もう、駄目になる事しか言わないですよ?だから、もう、沸々したって悩んだって、話は聞きません。
貴女が気づいてない間に…関係性は変わってたんです。携帯、貸してください」
え?
「番号、貰いました」
バッグの外ポケットに入れていた携帯を取ると自分の番号を入れ鳴らしたようだ。…素早い。戻された。
ブー。
「これ、俺のです。勝手な行動ですが、勝手にふるふるする訳にはいかないので。まあ、似たような事ですけど」
自分の携帯からもう返して来た。ポケットの携帯が震えていた。
「高守、俊佑。俊は俊敏の俊、佑は人偏に右です。登録しておいてくださいね。あ、出来たら下の名前だけの方がいいかもです。まあ、登録されなくても消されても連絡しますから気にしません。名字を入れて、親父と間違えないでくださいよね」
「俊佑君…」
「あー、もう着いちゃいますね。…あっという間だ…」