【BL】お前を抱きたい



「良いよ、気にしなくて。…ちょっとした僕の独り言さ」


「……っ」



何も言えなかった。





彼が悲しんでいるのを判っているのに…





「…そろそろ帰るね。今日は早く寝たいんだ」



中谷さんはそう言うと、店を出ていった。





……悪い事、したのかな…?





俺は暖簾をくぐって出ていく中谷さんを目で見送り、再び視線を高宮さんに移した。



彼は



「……ん…、ささ…き」



と寝言を言い、俺の服の裾を掴む。



「………っ!」



次第に彼は俺の肩から下りていき、遂には俺の膝元まで静かに下っていった。


今俺がこの場を退いたら、間違いなく彼は床に頭を打つだろう。



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