【BL】お前を抱きたい
酔った社長の掛け声で、各々が各地方へと散り散りになった。
俺は立つことも儘ならない高宮さんを抱き抱え――って言っても肩を貸しただけだけど…
暖簾をくぐった。
「高宮さんっ、大丈夫ですか?」
声を掛けたものの、彼は「んー」と言うだけで、まともに返事をしない。
「…はぁ。帰りますよ。…終電も行っちゃったし、今タクシー拾いますから」
俺は近くを走っていたタクシーを止め、高宮さんを奥に座らせた。
「狭川町まで」
「はい、判りました」
俺はドライバーにそう言い、寝ている高宮さんに自分の上着を掛けた。
ちなみに「狭川町」とは、高宮さんの家のある町だ。
タクシーは静かに運転し、外も夜のため物音が殆ど聞こえない。