キミに嘘を吐く日
「だから!宇野はいろはちゃんにちゃんと謝って、話をしなよ。いろはちゃん帰っちゃうんだよ?友也とアホな言い合いしている場合じゃないでしょ?」
「彩波、心配でついて来たわけ?自分がいたらいろはちゃんが気を使うって気にしてたもんなあ……」
川原くんが西条さんの頭をヨシヨシと撫でて、西条さんから見事なエルボーを鳩尾に受けてのたうっている。
「いろはちゃん、ごめんね。彼女のフリとはいえ気分良くなかったでしょ?だから会わないつもりだったんだけど、この2人だけじゃ本当に不安で……」
落ち込む西条さんに近づいて、彼女の手をそっと握った。
「西条さん、ありがとう。私、西条さnのような人が宇野くんのそばにいてくれて、今は本当に良かったって思う。……正直最初はこんな綺麗な人が彼女だって紹介されてショックだったから」
「いろはちゃん……」
「西条さん、また会いに来てもいい?」
「え?うん!それはもちろんだよ。私もいろはちゃんに会いたい」
「えへ、友達ゲットだ。……宇野くん、私ね今のクラスにも友達できたよ?いつも1人でいた私を心配してくれたよね。今も1人で過ごす時間も嫌いじゃないけど、他の誰かと過ごす時間も素敵だってちゃんと分かった。宇野くんのおかげなの」
「いろは……」
西条さんと繋いでいた手を離して、宇野くんの側に歩み寄った。
川原くんと西条さんがそっとその場を離れていくのが分かる。