キミに嘘を吐く日
「宇野がこんな風に友也と言い合い出来てるの、私も初めて見た。うちの学校に来てからの宇野ってなんだか少し暗くて。狭い場所だから、宇野の家のことはクラスメイトは全員知ってて……。扱いにくいなーって思ってたのが本音。だけど、友也の無神経なほどの図々しさとか、私の名前が切っ掛けになってから宇野は、私達には少し心を開いてくれてたと思う」


西条さんの話に川原くんもウンウンと頷く。

その隣で宇野くんがなんだか居心地悪そうなのが見えたけど、彼はなにも言わなかった。


「いろはちゃんが会いに来たこの2日間を見て、宇野の元気の素は、やっぱりいろはちゃんなんだって実感したよ。」

「え?」

「宇野から『前の学校から友達が会いに来るから彼女のフリをしてくれ』って頼まれた時は、どんな理由があるのか分からなかったし、初めて頼って来てくれて力になりたいって思ったから、宇野に協力したけど、水族館でのいろはちゃんとの様子を見てたら、なんか違うなって思ったんだよね。で、問い詰めたら、すっごいヘタレな理由で。ムカついたんで平手かましました。ごめんね。いろはちゃんの大事な人をぶったりして」


西条さんが深々と頭を下げるから驚いて「頭上げてください」って言った。


「わざわざ会いに来てくれた大事な子に、嘘つくなんて男の風上にもおけねーよ」


川原くんまで宇野くんをディスっている。


「うるさいよ、川原に言われると腹が立つ」

「な、なんで俺にだけ文句言うんだよ!」


西条さんには言われっぱなしだった宇野くんだけど、川原くんには一言応戦している。

本当にいいコンビだと思った。

高田くんが見たら、ヤキモチ妬いちゃうかも。

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