キミに嘘を吐く日
「この辺りの海は底が見えるくらい綺麗なんだ。遠浅の時は結構遠くまで行くことができる」


森さんが教えてくれて、茶原さんが去年の夏に泳ぎにきたのだと話してくれる。

海が綺麗で、景色がよくて、見ていると癒される。

この街で宇野くんは両親と離れて、おじいさんたちと住んでいる。

両親の離婚で宇野くんの心がどれほど傷ついているのかは、私には想像も出来ない。

私がこうして会いにいくことが、宇野くんにとって迷惑なのかそうでないのかも。

私は一方的な自分の想いだけで、ここまで突き進んで来た。

もう少しで会えるかもしれないという時になって、急に不安になって来た。

俯いて何度か深呼吸を繰り返していると、不意に高田くんが話しかけて来た。


「御門、俺さ時々宇野と連絡とってんだけど。アイツ……うっぜ〜位にアンタの話ばっかりすんの。自分から離れることを決めたくせに。御門が今どうしてるのかって気にしてる。友達も出来て、楽しそうにやってるって話すとさ、自分のことみたいに喜んでた」

「そうなんだ……」


人と関わることの大切さを教えてくれた宇野くんが少しでも安心してくれたらいい。

私は彼のおかげで今ここにいるんだから。


「でさ、ちょーっと揶揄ってやったんだよ」

「?」


高田くんの悪戯っ子のような目を、不思議に思って首を傾げる。


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