変わる想いを貴方に捧げる

···楽しもう


少しすると
和真の瞼がピクピクと痙攣し
ゆっくりと目をあけた。

「「兄さん。兄貴。」」と、晶と拓真。
「和真さん」と、秀斗先生。

鈴音も、ハッとするが
自分を覚えていないのだから
側に行くのは、違う。
と、その場に立ちつくしていた。

和真は、くるりと回りを見て
鈴音の姿をとらえると
しばらく止まった。

鈴音は、目をあわすことなく
下をむいていた。

和真は、
「戻る。」
と、言うと
立ち上がり、服装を整えて
出口に向かう。

出口付近にいた鈴音は
いっそう、下がろうとしたが
後ろは、壁で下がれなかった。

和真は、クスリと笑い
小声で
『拓真に触らせたお仕置きな。
鈴音、待っていなさい。』
と、言って出て言った。

鈴音は、驚きと喜びに
おえっを押さえながら
涙が溢れた。

「「鈴音っ、鈴音ちゃんっ!」」
と、晶と秀斗先生。

拓真は、鈴音の側にいき
鈴音を抱き締めた。
「あっ、拓真兄さん、和真兄さんに
叱られてもしらないから。」
と、晶
「身を引いてやるんだいいだろう?」
と、拓真が言うと
「う‥‥んっと、仕方ないか。」
と、晶は、笑っていた。

鈴音は、会話の内容が
わからなかったが
和真が自分を思い出して
くれた事が嬉しかった。

鈴音が落ち着いてくると
「ここにいても・・ね。」
と、晶。
「お腹すいたし、せっかくだから
美味しいものでも食べようか?」
「そうですね、いただきましょうか?」
と、秀斗先生の言葉で
パーティーの会場に
戻る事になった。

鈴音は、自分なんかが
戻って良いのか、心配していると

< コンコン >
蒼真さんが入ってきて
「「「蒼真兄さん、兄貴、蒼真さん」」」
と、晶さん、拓真さん、秀斗先生がいうと

蒼真さんは、私をとらえて
微笑んでくれて
それから、
「社長より、会場にご案内するように
命を受けました。
どうぞ、こちらへ。」
と、みんなを託した。

拓真が鈴音をエスコートしようと
すると
蒼真に阻止され
「拓真、わかってるな。」
と、小声で言われた。

拓真は、はあ。
と、ため息をつき
鈴音の後ろに回った。

蒼真と拓真に挟まれて
会場に入る形になり
鈴音は、不安だったが
晶さんが頷いてくれたから
今日は、晶さんのお祖父様の
ご招待であるし
この雰囲気を楽しもう
と、思った。
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