妖怪師匠と優雅な時間
「あまりにも稲荷さんが突然すぎて」

「ごめんなさい
わたしの友達に
片思いをしている男の子がいて
相談に乗っているけど
恋愛がよくわからなくて」

師匠は湯のみをことりと置いた

「稲荷さんは恋をしたことありますか?」

「小学生の時に周りに乗っかった
なんとなくでならありますけど
それは恋とは違う気がして」

「なるほど
いいんですよ、自分のペースで
きっと素敵な人が見つかります」

「師匠は恋をしたことありますか?」

「まあ人並みには」

「どうしたら恋だと認識できますか?」

「そうですね…」

師匠は立ち上がってわたしに近づいた
真っ直ぐに目を見つめられる
碧く澄んだ美しい目と目が合う

「好きです」

息を、飲んだ
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