妖怪師匠と優雅な時間
木の門は開いている

「師匠、よくわたしが来るって
わかりましたね」

戸締りが甘すぎる師匠に
戸締りを徹底させたのはわたしだ

朝と夕方の少しの時間に
門を開けてもらうようになっている

だいたい前日にこの時間に来るから
開けて欲しいと言うのが通例だ

しかし、昨日は特に昼に来るとは言っていない

「稲荷さんに憑いてる方が教えてくれました」

飄々とした態度で自然に師匠は言ってのける

「また妖怪ですか」

「稲荷さんはいつになったら
信じてくださるのですか」

「いないことを証明するために
大学に来ているんです」


「実に強情だ」

「師匠こそ」

二人で笑い合う
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