妖怪師匠と優雅な時間
「依頼人は座敷わらしが大好きなんです
そして、座敷わらしも依頼人が大好きです」

「大好きならなんで」

「"大好きだから"なんですよ」

考えてもあまりよくわからない
その様子を察した師匠は笑った

「依頼人は余命宣告をされていて
もう命が長くないのです」

「座敷わらしがいるのに…そんな」

「妖怪は幸運を完璧に実行できるほど
強いものはそうそういません
ましてや子どもです
富や名声を与えることはあっても
当人の健康まで
力が及ばなかったのかもしれません
そもそも、妖怪と近づけば
精力が吸い取られるのが普通のことです」

「じゃあ依頼人さんはどうして座敷わらしのことが大好きなんですか」

「依頼人にはお子さんがいません
子どもがいない自分に対し
突如現れた可愛らしい子どもの妖怪
自分の子供のように思い始めたのです
座敷わらしも依頼人に遊んでもらい
持ちつ持たれつな関係だったんです」
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