情熱的に愛して
「誰かって?」

「例えば、元カノとか。前、好きだった人とか。」

私の胸に、大きな矢が刺さったような気がした。

「元カノ……」

「まあ、あれだけモテれば、元カノの一人や二人、いや、三人や四人いたっておかしくはないでしょ。」


そうだよね。

ズキズキしている胸を押さえながら、私は門馬を見た。

すると、門馬はこっちを見ながら、微笑んでいる。


もし本当に、心の中に誰かいるのなら、どういう気持ちで、私と一緒に住んでるんだろう。

私はふと、寂しくなった。

なんだか私、門馬に恋しているみたいじゃない。


「そう言えば、うちの部署に、新しい上司が来るみたいよ。」

「へえ、そうなんだ。」

その時、門馬の様子がおかしいなった事を、私は見逃さなかった。
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