情熱的に愛して
この男は……

この男は………

私が、秋香と仲良くしている門馬に、嫉妬していると思っているのか。


「なに?」

「いや、門馬って……幸せな人だなって思って。」

「俺が?」

もしそうだとしたら、誰も喧嘩せずに済むんだろうなぁ。

罪な男だ。


「何だよ、それ。」

門馬は、ソファに座っている私の隣に、腰を降ろした。

「じゃあ、逆に若林に嫉妬してたって事かよ。」

図星をつかれた私は、クッションを抱きかかえた。

「ま、まさか……」

まずい。

声が、上ずった。

「市川?」

名前を呼ばれても、振り向けない。

だって絶対、私、顔が赤くなってるもん。


その時だった。

門馬が、ビール缶をテーブルに置いた。
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