拝啓、何億光年先の雨より




『_______あの日。



それは前触れもなく、楽しかった日々を


一瞬で地獄に変えた。』




そう書かれた本が、彼の足元に落ちた。





……バサッ!



「……ん…」



音に驚いた俺は、閉じていた目を開けた。


あれ、寝てたのか…?



冴えない頭を起こして、周囲を見渡す。



辺りには本がたくさん並べられており、

窓からは夕日の光が差し込んでいる。



…ここは図書室だ。


どうやら俺はここで眠っていたんだろう。



でも、何で図書室にいるんだ…?

普段滅多に来ない場所なのに。



目が覚めてすぐだからなのか、

全く思い出せなかった。



とりあえず、早く帰ろう。

ずっと居れば鍵が閉まって閉じ込められる。



そう思って立ち上がると、足元で何かに
ぶつかった。


「…本?あぁ、落ちた時の…」


本を手に取り、パラパラとページをめくる。


本には、タイトルがなかった。


めくるめくるページには、手書きの
文字が並んでいた。




『5月14日

雨が降って、湿気がとても多い。

雨の日は、本当に嫌い。
良いことも何一つないから、嫌い。

今日はあまり書く気がおきない。』




「……誰かの、日記……?」



何でこんなものが、俺の側に落ちてるんだよ……。


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