拝啓、何億光年先の雨より




また靴を履き替え、職員室へ向かう。


この時間なら、閉まってることなんて
ありえないはず…。


何とも不思議に思いながら、ドアをノックする。


「失礼しまーす。朝比奈です」



……無言。



普通なら誰かいるはずなのに。

何で誰も返事がないんだ?


聞こえなかったのかもしれない。

今度はもっと大きい声を出した。


「すいませーーん!朝比奈ですけどー!」


いくら強くノックをしても、返事がない。

マジで誰もいないのかよ…。


これじゃ鍵開かねぇから帰れないだろ…。







そうだ、波多野…波多野先生は。


波多野先生とは、俺の担任。

遅くまで教室に残って何やら授業の準備を
したりしていることが多い。

暑苦しい時もあるけど、生徒思いの
優しい女の先生だ。


波多野先生なら、まだ教室にいるかも。


そう思い、二階へ上がる。


俺のいる「2年3組」は二階の一番角にある。



さっさと鍵貰って、早く帰ろ…。




「波多野先生ー、いますかー?」


2年3組の引き戸を開けた。



そこに波多野先生の姿は無かった。




代わりにいたのは………






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