拝啓、何億光年先の雨より
俺が声を掛けると、ハッとしたように
田崎はまた元の笑顔に戻った。
「い、いやほら!今日ってみんなでさ、
晩ごはん食べに行こうって言ってたし!」
焦ったような、必死の口調で田崎は答えた。
周りもつられて笑い出す。
「俺たちのクラスって仲良いしな!」
そう、俺たちの学校は少し変わっていて
3年間クラス替えがない。
新学期の新鮮さはないけど、仲良くなれば
最高に楽しくなるし、
まぁ、仲が悪ければ……うん。
だからこの2年3組も、1年と同じメンバーだ。
3組は男女共に仲が良い。
良いクラスメイトに恵まれたと思う。
さっきまで俺は図書室で寝てたみたいだから、
もしかしたら寝ぼけてるだけなのかもしれない。
そんな約束してたのかも。
「…そっかそっか!楽しみだな!」
そう答えると、田崎はどこか
苦虫を潰したような笑みをこぼした。
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田崎や他のクラスメイトと一通り話し終えた後、
俺は教室の後ろにいた1人の女の子の元へ向かう。
「霧乃ー!」
肩をビクッと揺らし、振り向いたのは
俺の幼馴染で親友の霧乃 美桜(きりの みお)。
肩にかからない程度の黒髪ボブが、
色白な肌によく似合っている。
大人しめな優しい女の子だ。