エリート上司の甘く危険な独占欲
「はい、たぶん……」

 だが、今まで探して見つからなかったのだ。華奈は少しずつ場所を移動した。そうしてしばらく探したが、やっぱり見つからない。華奈は半ばやけになりながら、がむしゃらに両手を動かし始めた。その必死の様子を見て、颯真も場所を移動しながら探し続ける。

 直後、彼が小さく声を発した。

「あっ」
「えっ」

 華奈は中腰になって颯真を見た。

「これかな?」

 颯真がなにかを掴んだまま体を起こした。そうして右手を華奈の方に突き出す。開いた彼の手のひらの上に、四角い小さな箱がのっていた。見覚えのある箱だ。

「あっ、それですっ」

 華奈は歩きにくい海の中を彼の方へと急ぐ。

「ありがとうございま――」

 す、と言いかけたとき、足がもつれて転びそうになった。

「おっと」

 とっさに颯真が腕を伸ばして華奈を抱き留めた。

「す、すみません」
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