エリート上司の甘く危険な独占欲
「っくしゅん」

 思わず両手で自分の体を抱きしめたとき、肩にふわりと男物のジャケットがかけられた。

「海水浴をするには早すぎたな」

 颯真がいたずらっぽく笑った。ジャケットはとても暖かいが、そうすれば颯真がワイシャツ一枚になってしまう。

「部長が冷えてしまいます」

 華奈が脱ごうとする手を、颯真はやんわりと押さえて止めた。

「俺はそんなにヤワじゃないよ」
「でも」
「つべこべ言わない」

 颯真が言ったかと思うと、華奈の背中と膝裏に彼の手が回され、横抱きにふわりと抱き上げられた。

「ぶ、部長!?」

 慌てる華奈のすぐ目の前に、少し怒ったような颯真の顔がある。

「大人しく抱かれてろ。足の裏が痛いだろ」
「あ……」

 確かに箱を海に投げる前、ビーチを歩いてそう思ったことを思い出した。

 颯真は華奈を階段へと運び、ゆっくりと下ろす。

「ありがとうございます」

 華奈は颯真に支えられながらパンプスに足を入れた。
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