エリート上司の甘く危険な独占欲
颯真が華奈の手を掴んで立ち上がった。
「え、ちょっ」
「ほら早く」
颯真に手を引っ張られ、華奈は足をもつれさせながら立ち上がった。
「待ってください!」
「んー、待てないな。そろそろ俺のランチプレートが運ばれてくる頃だと思うし」
「ええっ、食べてないのにお店を出てきたんですか?」
「相原さんたちがキミのことを心配してたからね」
「だからって!」
「早く戻らないと、店の人に食い逃げしたのかって怪しまれる」
そう言ってから、颯真はおかしそうに笑った。
「食べてないから食い逃げにはならないか。頼み逃げ、とか?」
「待ってください、お財布……」
華奈は左手を握る颯真の大きな手から逃れようと手を引いたが、彼は離してくれなかった。
「相原さんたちに奢ってあげるって約束したんだ。だから、華奈も財布はいらない」
「え、そんなのダメです」
「なんでダメなの? 華奈が主任に昇進したお祝い、まだしてなかったしね」
「でも!」
「あれ、ランチじゃダメか。じゃ、お祝いはまた改めてってことで」
颯真に軽く目配せされ、華奈はため息をついた。これ以上言い争っても、颯真に勝てそうにないことだけはわかる。華奈は大人しく彼に手を引かれるまま、貿易管理部を出てエレベーターに向かった。
「え、ちょっ」
「ほら早く」
颯真に手を引っ張られ、華奈は足をもつれさせながら立ち上がった。
「待ってください!」
「んー、待てないな。そろそろ俺のランチプレートが運ばれてくる頃だと思うし」
「ええっ、食べてないのにお店を出てきたんですか?」
「相原さんたちがキミのことを心配してたからね」
「だからって!」
「早く戻らないと、店の人に食い逃げしたのかって怪しまれる」
そう言ってから、颯真はおかしそうに笑った。
「食べてないから食い逃げにはならないか。頼み逃げ、とか?」
「待ってください、お財布……」
華奈は左手を握る颯真の大きな手から逃れようと手を引いたが、彼は離してくれなかった。
「相原さんたちに奢ってあげるって約束したんだ。だから、華奈も財布はいらない」
「え、そんなのダメです」
「なんでダメなの? 華奈が主任に昇進したお祝い、まだしてなかったしね」
「でも!」
「あれ、ランチじゃダメか。じゃ、お祝いはまた改めてってことで」
颯真に軽く目配せされ、華奈はため息をついた。これ以上言い争っても、颯真に勝てそうにないことだけはわかる。華奈は大人しく彼に手を引かれるまま、貿易管理部を出てエレベーターに向かった。