あの日の帰り道、きっとずっと覚えてる。
***

「………お姉ちゃん、風邪ひくで…。そろそろ十一時半やし…。うち、もうご飯食べたで」

結局翔琉は来なかった。
今日こそ来て欲しかったのに。

……いつの間にか、巡る一日の中のひとつになっていた。
ゴミを捨てに外に出て、翔琉とお喋りする時間。
ほとんど一方的に話してくれて、それに私が反応するだけだったけれど。
それでも翔琉は、気付かぬ間に私の日常に入り込んでいた。
初めて、全ての過去を打ち明けた。
本当の姿を見せて、話した上で、支えると言ってくれた。

「………嘘つき…」

信用しなければ良かった。
今日が来なければ、こんな思いしなかった。
おばあちゃんを失うこともなかった。
〝明日〟が来るから。だからこんなに辛いんだ。

「止まってよ。何度も何度も願ってるのに…」

頭も顔も心もびしょ濡れになって、私は家の中へ入った。
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