あの日の帰り道、きっとずっと覚えてる。
そう言う光希歩の視線は、俺があげたミサンガがつけられている銀色の脚にあった。

「じゃあ、光希歩はこれからどうやって生きていくん?」

心を鬼にするように、あえて少し冷たい言葉を吐き出した。
それで光希歩が歩み出してくれるならと、思ったから。
黙り込む光希歩に俺は続ける。

「責めてるわけちゃうけどさ、高校に行ってなくて、ましてや小学校から不登校やのに、どうやって食べていくん?そりゃあ、うちがあるから、頼ってくれるのは全然大丈夫やけど…」

視線を動かさない光希歩に、少し言いすぎたかなと思ったが、小さい声がハッキリと聞こえた。

「…私が、邪魔になったのね」

回れ右をして、階段を上ろうとする光希歩に焦り、俺はまた細く白い腕を掴んだ。
正直に話して、謝ろうと思ったが、それを遮るように透き通る言葉が刺さってくる。
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