冷たい君の不器用な仮面
……気まずい。





家からコンクリートの建物までは、約15分でつく。





たった15分なのに、わたしには物凄く長く感じられた。





さっきレイにふれてしまってから、5分程度。






……ずっと沈黙が続いてる。





いや、ふれる前も話してなかったんだけどさ。






……さっきとは違うような、気まずい沈黙ってやつだ。






わたしはレイの大きな背中をじっと見つめる。





年は私と同じなのに、何でこんなに大きいんだろう。





身長だって、頭一個分くらい違う。






声だって私の何倍も低い。






そう思うと、やっぱり男の人なんだなぁと思う。





「ねえレイ。レイは何者?」





私は何気なく、口から言葉をこぼした。





「……何者…か……」






レイは小さくつぶやくと、フッと笑った。





「何者だろうな」












…………しまった。






私はその瞬間そう思った。






だって







そう言ったレイの声が







すごく寂しそうな







今にも消えてしまいそうな声だったから。
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