冷たい君の不器用な仮面
バイクの体勢が元に戻ると、私はホッと息をついた。






「…………離せ」






レイが急に、低く地響きがするような、冷たい声でつぶやいた。







私はビクッと体を震わせる。






「…あ、ごめん……」





私はしがみついていた手を、パッと離す。






「……別に」






レイは小さくつぶやく。






…………怒らせちゃったかな。





いくらバイクが傾いたとしても、いきなりしがみつくのはいけなかったかもしれない。






私はシュンと体を縮こませ、反省した。






「……ごめん。さわれるの嫌だったよね!気をつける」






「……っちが……!」





すると、レイは急に切羽詰まったように振り返った。






私が首をかしげると、レイはまたパッと前を向く。







「……何でもねェ」










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