冷たい君の不器用な仮面






「何でここにいる」







……何でこう、この時間帯にここで会ってしまうんだろう。






私は肩をすくめた。









また、夜の街でバイクに乗ったレイにあったのだ。








「ちょっと買い物に……」







「こんな夜遅くにか。」







レイの鋭い視線が痛い。






私は目を泳がせ、レイから視線をそらす。







前にレイに『夜に街に行くな』と言われたにも関わらず、街に行っていたことで罪悪感が私を襲う。






「……うん、ほんとに買い物だから。じゃっ、私帰るね!」





私はクルッと体を回転させ、帰り道へと歩き出す。







「おい」







「……??」








「お前の家、そっちじゃねェだろ」







レイはギロリと私をにらみ、引き止めた。








……ですよねー








バレますよねー






もう二回も送ってもらってるんだもん。







私の家を覚えても当然だ。







「…はい……」








私は体を縮こませながら、レイの元へ戻る。








そんな私を見て、レイはハアっと大きくため息をついた。








「……ほんとお前、ここに何しに来てんだ?」







レイはバイクから降りて、サドルに寄りかかった。







その言葉に、私はビクッと体を震わせる。







……言えない。








絶対


絶対


絶対











誰にも、言えない。








まだ高校生の私が。










あの仕事をするために、毎日街に来てるだなんて。








言えるわけがないよ








私は愛想笑いを浮かべ、何もないよ、と小さく答える。







するとレイは眉をひそめ、私をじっと見た。







「嘘つくな」








レイは私にヘルメットを投げ、バイクに乗り込む。






「乗れ」







……何でこうなるんだろう
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